― 泡かたの恋 ー 23
「マジで美味いな、このナポリタン!アツシすごい!!」
金森は口に運びながら喜んだ。
確かに、俺も初めてアツシのナポリタンを食べて驚くばかりだ。こんな料理を作れるなんてちっとも知らなかった。
「そんなに褒められたら照れるなぁ。まあ、たまに家でも作ってるんだけどさ、みんな喜んでくれるよ」
「だろうなぁ、…奥田は?料理とかしないの?」
咄嗟に聞かれて「え?…あー、ラーメンぐらいは」と言ってしまった。
実際、母親がひとりで料理を担当している俺の家。アネキも妹も手伝うぐらいはするが自分で一から料理をしたところは見た事がなかった。俺も、自分の為に作るラーメンが唯一の手料理だ。
「アツシはきっといい旦那になるんだろうな。家事は分担とかしてさ」
金森は言いながら美味しそうにナポリタンを頬張った。
「まあな、これからの男はちゃんと家事も出来なきゃ、だな。それに大学とか行ってひとり暮らしするかもしれないしさ。自炊出来なきゃ金がいくらあっても足りんだろ」
アツシは照れながら金森に言ったが、大学の事を考えているのかと驚いた。そんな話はまだした事がない。
「東京住みなのにひとり暮らし?家から通えばいいのに」と、金森に言われて「東京の大学に行くかどうかわからないだろ」と返した。
俺は咄嗟に「え、アツシどこの大学に行くとか決めてんの?」と尋ねた。
俺もアツシも勉強が好きな方じゃない。大学はなんとなく就職に有利なのかと思っているだけで、考えてみたら甘い考えだった。何処かには入れるだろうと思っているんだから。
「まあ、ぼんやりと。オレ、体育の教師になりたいんだよね、中学とか高校の」
「え、マジで?」
俺は驚いた。長年一緒につるんでいるのに、こんな話は初めて聞く。アツシのやりたい事。
「アツシ似合いそう!いいよ、体育教師。バスケの顧問とかもイケるっしょ」と金森は声をあげた。
「ああ、いいかもな」
温度の低い声を出す俺は、そのままナポリタンを口に入れる。